公用語が4つもあるスイス。スイス人の不思議でフレキシブルな言語事情について

スイスには公用語が4つあります。

ドイツ語、フランス語、イタリア語、レトロマンシュ語の4つです。

私がスイスに言葉が4つあると知った時、『テレビは? 新聞は? 買い物は? どうしているのだろう・・・』と不思議に思ってしまいました。

テレビやラジオは、地域ごとに番組が振り分けられているので、それを選べばOK。

商品には、ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、その他色々な言語で食品表示がされています。

新聞も同じく、その地区の言語でその地区が発行している新聞は書かれています。

学校では、自分が普段使っている言葉の他に、第二公用語と英語を勉強します。

私はドイツ語圏に住んでいるのですが、ドイツ語圏にもかかわらず、フランス語の単語が色々な場で使われているのを実感します。

切符や、横断歩道、感謝の言葉など、フランス語の言葉が使われています。

 

私は日本にいた頃、私にとっては外国語といえば「英語」のみ。

そしてこの習得に苦労してきた訳ですが、スイスの子供達は、自分の国の言葉が4つあるというところから始まって、小さいうちから第二公用語を勉強し始めます。

そしてその後、勿論、英語も始まります。

柔軟な対応をしていくのが当たり前、そんな感じです。

スイスのドイツ語圏の人に言うには、彼らの母国語は「ドイツ語」でなく、「スイスのドイツ語」なんです。

『へ? 何それ?』を思ってしまいますよね。

簡単に説明すると、「ドイツ語」、「ハイジャーマン」ともいわれますが、これは日本でいう標準語。

教科書や新聞、ニュースで使われる言葉です。

「スイスのドイツ語」というのは、文法もハイジャーマンとは少し違って、地方の強い方言と言うとわかりやすいかもしれません。

 

私は外国人としてスイスに住んで、ハイジャーマンを学びました。

ハイジャーマンが話せれば、人々と交流できるからです。

今は、スイスのドイツ語も理解できるようになったので、私はハイジャーマンを話し、相手はスイスのドイツ語を使って会話をする事が多いです。

ドイツ語圏のスイス人にとって、やっぱり「ハイジャーマン」よりも、「スイスのドイツ語」を使う方が気持ちがいいそうなのです。

関西の方が、東京で標準語を話す感覚と同じように捉えていただければいいのかなと思います。

 

またスイスは外国人が4人に1人という、外国人率がとても多い国。

ですから外国人に対しての許容力も大きく感じます。

ドイツ語、フランス語、イタリア語、レトロマンシュ語の4つに加え、英語の5つの言語を使いこなすスイス人。

「スイスのドイツ語」に愛着を持ちながらも、他の言語圏の人達とも柔軟にコミュニケーションを取れるのは本当に素晴らしいと思います。

頑張る人には年齢も国籍も制限をせず、フレキシブルな生き方ができるのがスイスの良いところだと思います。

そんな国に住めて幸せを感じています。

Written by サイツ理子