”世界を舞台に。女性はつながることで力を発揮する”藤村ローズさん(オランダ)

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世界で働く女性のためのポータルサイト「世界ウーマン」が誕生したのは2年前の2018年夏。オランダに住む一人の日本人女性が、海外に住む女性たち専用のコミュニティがあったらいいなという思いでウェブサイトを開設したのがきっかけです。

以来「世界ウーマン」には、コラム配信やイベント・交流会開催などに携わってくださる世界の女性達が各国から集まるように。その輪は広がり続け、現時点で33か国300名以上の方にご参加いただいています。

世界で働く女性達が気軽に参加できるコミュニティの場所として、女性達のビジネスや活動が発揮できる一つの場所として、「世界ウーマン」を育て続けるファウンダーの藤村ローズさん。

何で世界ウーマンを作ろうと思ったの?探ってみたら意外な素顔が見えてきました!


マイケルジャクソンにハマり、英語を猛勉強

周:ローズさんて、海外生活15年以上ですよね。しかも中国、香港、マカオ、マレーシア、オランダと5か国での生活を経験しています。もともと海外志向が強かったのですか?

ローズ:いえ、どちらかというと国内志向でした。留学には興味はありましたが、海外での学びを活かして日本で働くつもりでした。

周:意外〜。では、ローズさんが海外に興味を持ったきっかけはあったのですか?

ローズ:小学校高学年の時に福岡ドームにきたマイケルジャクソンのコンサートに行ったらハマってしまったんです。とにかくマイケルに会いたいというのが海外へ目を向けるきっかけですね。マイケルと話すことを目標に英語を猛勉強するようになりました。中学校が合わないと感じていたこともあって、親に「アメリカに留学したい」って言ったら即却下されましたけど。

周:小学生でマイケル!中学生で留学したい発言!これでアメリカに行くのかと思いきや、最初の留学先は中国でしたね!?

ローズ:学生時代に英語はある程度習得できたのと、芸能活動を始めていて香港映画が好きだったので、中国で勉強してみたいと思いました。これからはアジアの時代と言われていたので、中国語ができたらビジネスでも強いだろうと。

周:やりたいこと沢山ありましたね!!すでにマルチポテンシャリストの気配が感じられます。そのころから「やれることは何でも試してみたい!」と思っていたんですか?

ローズ:それがそうでもなかったんです。「道を一つに絞って最後までしっかり行かなきゃ!」と思っていました。でも海外に出てから考え方が大きく変わりました。世界でいろんな人と出会い、もっと柔軟に考えられるようになりました。色んなことをやりたい自分を受け入れたというか、受け入れてもらえたというか。

周:へぇ!では心境の変化があった海外生活を詳しく聞いていきますね。

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オランダの秋は本当に綺麗!散歩はひらめきの場

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北京留学中、中日青少年交流センターの茶室にて

世界ところ変われば…海外生活は気付きの連続!

周:最初の海外である北京での生活はいかがでしたか?

ローズ:最初は国際電話の掛け方も分からず、大人なのにホームシックになりました(笑)

周:ははははは!大人でも最初は心細いですよね。

ローズ:でも単身留学は吸収が早かったです。最初は全然聞き取れなかった中国語も、日本語や英語に中国語が混ざって困るほどに。色んな国からきた留学生との交流も楽しかったです。

留学する前は「中国は危ない」とかなり脅されていましたけど、実際住んみたらそうでもなくて。現地になじむことはとても大事だと思っていたので、できるだけ中国の学生と同じような生活を送っていました。

周:適応能力高いですね~!これは嫌だとかの拒絶反応することはなかったんですか?

ローズ:衛生面とかは色々ありましたが、どちらかというと違いを楽しめる方だと思います。中国特有の食べ物にも挑戦しましたよ。「臭豆腐(しゅうどうふ)」を食べたときは日本に帰りたくなりました。(臭豆腐とは豆腐を植物性の発酵液につけた加工食品で強烈な臭いがする)

周:ははははは!臭豆腐はやばいですね~。私勇気なくてまだ食べたことないです。その好奇心、尊敬します。

ローズ:反日感情を感じることもありましたが、私自身が日本の歴史や文化をあまり知らないことに気付くきっかけになりました。何か日本文化を学びたいと裏千家茶道を習いはじめました。中国の人たちの前でデモンストレーションをしたり、貴重な経験をしました。

周:そして北京にいるときに結婚をされたんですね?

ローズ:はい、北京で知り合った日本人の相手と結婚し、北京は寒すぎたのと将来のことを考えて香港に移ることにしたんです。それから妊娠し、2008年に香港で息子を出産しました。

周:その頃の生活はどうでしたか?

ローズ:海外で初めての子育てに精一杯でした。子供の呼吸が止まって救急車を呼び、家事がほとんどできなくなった時、知人がフィリピンのお手伝いさんを紹介してくれました。買い物、料理、赤ちゃんの世話、なんでもてきぱきとこなしてくれて驚きました。

周:お手伝いさん文化は日本と大きく違うところですよね。こっち(香港マカオ)のお母さんたちは産後4週間とかで仕事復帰しますもんね。

ローズ:かなり価値観変わりました。そのあと夫の転職で子供が1歳になるころマカオへ移動します。

ローズと周の出会いは10年以上前。子供たちも幼なじみ

周:そこで私はローズさんと出会うわけですが、ローズさんが作ってくれた手羽先の煮つけがおいしかったことを覚えています。買い物はスーパーではなく市場によく出かけていたそうですが、量り売りや値段のやりとりなど大変じゃなかったですか?

ローズ:買い物は海外生活に馴染む一番のポイントなんですよ!数を覚えたら指さし会話で買い物できますから。どこの国でも「こんにちは」「ありがとう」の次に数字を覚えます。

周:やはり実用的な会話が役立ちますね~。交友関係はいかがでしたか?

ローズ:ママ友達と仲良くさせてもらっていました。子育てや生活のことなど色んなことを教えてもらいました。困った時に色々説明せずに助けてくれたのはやはり言葉も文化も同じ日本人でした。

周:マカオの次はご主人の転勤でマレーシアのジョホールバルへ移動ですね。移動することに関してはローズさん的にはどのように思われていたんですか?

ローズ:またゼロからスタートだけど頑張るしかないですよね。文化や言葉の壁に孤独を感じることもありましたし、いつどこに引っ越すか分からずキャリアを築けない不安もありました。でもできることをやる!参加できることは何でも参加して、日々の生活の中で気づいたアイディアをノートにまとめていました。いつか自分なりの形で仕事をしたいという気持は常にありました。

周:学生のころからやりたかったことの一つに「自分でビジネス」ありましたね!

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オランダの春、キューケンホフ公園にて

「オランダに呼ばれてるかも?」と住んでみることに

ローズ:その頃はアイディアだけで、形にする術は持っていなかったですけどね~。息子が小学生になって少し時間ができ、夫の会社が人手不足だったことから少しづつ仕事を手伝うようになりました。その中で日本人居住者向けのサロンの立ち上げをしたんです。HP作ったり、イベントを開催したりと、今思うと世界ウーマンで行っている活動の礎となることをやっていましたね。現地の人と文化を越えて一緒に仕事するのもいい経験になりました。

周:ローズさんとビジネスを結びつける要素がいよいよ動きだしましたね。

ローズ:長かったですねー(笑)でも物事にはタイミングってあると思うんです。焦ってもいい結果を出すのは難しい気がします。私は何かを形にしていく事や役に立てる事にすごくやりがいを感じます。人が集まって一緒に有意義なものを作り出していくことや学びを得ることも面白いです。一人だと難しいことも人が集まると急にパワーアップ出来るんですよね。

周:オーガナイズ能力はそのころから発揮していたんですね。その後、ご主人が体調をくずされたこともあって再度移動することになったんですよね。

ローズ:はい、日本に帰ることも視野にいれていたのですが、オランダのビザが取得しやすいということで申請してみたら本当に取れてしまい、「オランダに呼ばれてるかも?」と一度住んでみることにしました。「子供の幸福度が世界一」というところにも惹かれました。

周:現在オランダ6年目ということですが、今まで滞在してきた国とは違うなと感じる点はありますか?

ローズ:オランダは自由というか寛容だなと感じます。選択する自由があり、人と人の間に適度な距離感があって、外国人にもとても公平な社会だと感じています。

結婚しなくても家族が築けるという点はヨーロッパ生活で一番の衝撃でした。そして私たちは結婚生活に終止符を打ちました。無理に夫婦で居続けるより、父母として良い関係を築いていく方がいいと考えたんです。その結果、関係が以前より良くなったと思います。

オランダは子供が世界一幸せな国と言われている通り、12歳の息子はとても暮らしやすそうにしています。私が子供だった昭和時代のようにどこかのんびりしていて、自分のやりたいことに打ち込める環境があります。

自宅のダイニングテーブルから世界につながる

周:仕事というと、どんなことをされているんですか。

ローズ:はい、まずは学生時代から細々と続けている芸能活動。昨年撮影したカム・アンド・ゴーという映画が第33回東京国際映画祭でプレミア上映されます。そして、オランダで自分で会社を設立しました。

マレーシアの時から携わっていた国際教育関連の事業から始まり、WEBサイト制作や人材派遣もしています。会社のサイト作成や運営をしているうちにそちらの方が面白くなり、本格的にプログラミングを学んだんです。その卒業制作で制作したのが、世界ウーマンの初期サイトです。

「海外在住の女性がどこに住んでも仕事を続けられる環境があったら」「情報を共有したり自分の経験を役に立てたい」「同じような境遇の人たちと繋がりたい」というシンプルな思いでサイトを作りはじめました。海外在住者のサイトは他にもありましたが、海外で仕事を続けたい女性に特化したものがなかったんです。

女性って優秀な人が多いですが、さまざまな理由で能力を発揮できていないことがあると思います。特に海外生活となると、常に利き手でない手で戦うようなもの。その点インターネットの世界は公平だと思うんです。アイデアとやる気と行動次第で、住んでいる場所のハンデを有利に変えられます。

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プライベートもビジネスも相談できるアムステルダム女子会の仲間たち

世界ウーマンは仲間と切磋琢磨しながら、自己実現していくコミュニティ

ローズ:当初は一人でやっていたのですが、知人に声をかけてコラムを書いてもらうことにしました。それまでの滞在国で知り合った友人達も移動していて、まさしくウーマン達が世界に広がっている状態だったのです。

周:世界ウーマンを本格稼働させようと思ったきっかけは何だったのですか?

ローズ:実際にやってみて、本当に必要なものだと強く思ったからです。自分自身がそうだったのですが、海外在住の女性達で活かしたい能力や技術を発揮する場所ないと感じている人は多いです。情報をサイトに置いておくことで彼女たちの仕事や活動を見つけてもらえるきっかけになります。

また同じような境遇の仲間を見つけることもできます。今までなかなか出会えなかった人に出会い、今まで知らなかった価値観を知るかもしれません。私自身色んな刺激を受けて、まだまだ成長しています。

周:世界ウーマンも2年半運営をされていますが、規模が大きくなるにつれて当初とは違う目標などもでてきたのでは?

ローズ:そうですね、色々やってみたい気持ちが出てきています。コロナ禍の中迎えた2周年イベントで、7カ国をつないだオンライン世界旅行が成功したのは本当に嬉しかったです。100名以上の申し込みがありました。これからも世界ウーマンたちと一緒に喜んでもらえるものを作っていきたいです。

もっと情報発信していきたいですし、現在サービス提供や商品開発、書籍化などの準備をしています。参加者が住む場所に限らずコラボレーションして、色んなものを生み出していけるサイトになれるといいなと思います。

周:すごいですね!世界ウーマンがそんな場所になれたら最高ですね。では最後に、世界ウーマン読者へ伝えたいことを一言お願いします。

ローズ:コロナの経験から住む場所を選べる時代になったと思います。これからは世界が舞台。女性はつながることで力を発揮します。仲間と一緒に切磋琢磨しながら、自己実現していくコミュニティを一緒に作っていきましょう!

ローズさんは物事を順調に運ぶのが上手くて、一見淡々としている印象を持つのですが(美人だから余計そう見える)実は常に情熱をもって生きている人なんだな~と、このインタビューを通してしみじみ感じました。

そして人を巻き込む力。世界ウーマンの原動力ともいえるこの力のおかげで、活動の場を広げるウーマン達が続々生まれています。ウーマン達の積極的関わりと貪欲なまでの好奇心があり、それが素晴らしい相乗効果を生み出しています。

世界ウーマンは、これからも世界で働く女性たちとともに成長を続けて自己実現を叶える場になっていくことでしょう!

Written by 周さと子(マカオ)