Photo by Tan Chee Soon
日本はもうすぐ桜の季節ですね。毎年、たくさんの友人がFacebookのタイムラインでお花見の様子を投稿していて、それを見ると猛烈にお花見がしたくなります。
また同時に、桜が咲く頃は別れと出会いの季節なので、なんだか寂しいような切ないようなセンチメンタルな気分が思い起こされてきます。
ご存知の通り、マレーシアは年間平均気温が30度前後と年中半袖で過ごせる常夏の国。マレーシアに春はありません。ですが、日本で桜が咲き出す頃か、ちょっと前の時期に、マレーシアでもそこらじゅうでピンク色に咲き誇る街路樹があるんです。
はじめてこのピンク色の花を見かけた時はとても驚きました。車に乗っていたら、前方にピンクの花が華やかな木が目に入ってきて、その姿はまさに「桜」。日本の桜よりももうちょっと派手で南国っぽさ満載ですが、どう見ても桜なのです。それ以降、「マレーシアの桜」と呼んでいます。
遠くからだと分かりにくいのですが、近くに寄って見てみると、一つの木からピンク色の花の中にと白の花が混ざって咲いています。この大らかさがなんともマレーシアらしい。華美な感じが八重桜っぽいのですが、花びらは5枚。でも花びらの一枚一枚にひらひらのフリルが入っていて迫力がある感じ。
マレーシア人の友人達にこの木の名前を聞いたのですが、不思議なことに誰も知りません。
「10年くらい咲いてなくて、今年久しぶりに咲いたんだよ」と教わりましたが、それから毎年、だいたい4月の初めに毎年咲いているような。
この花に限らずなのですが、マレーシアの人々は花の名前をあまり知らないようです。少なくとも周りの友人知人に聞いた限りでは知っている人がほとんどいませんでした。公園でいくつもの美しい南国風な花を見かけて、名前を聞いてみても、だいたいみんな知りません。
でもマンゴーとか、パパイヤとか、フルーツのなる木については、聞くとすぐ教えてくれるんです。面白いと思いませんか?食べられるなど、生活に直結しているものについては興味があるけど、自然にはあまり興味がないのでしょうか。
今年は暖冬の影響かいつもよりちょっと早くて、2月下旬の現在にはジョホールバルの「マレーシアの桜」はほとんど咲き終わってしまいました。
ちなみに、日本人の友人とこの花について話したところ、華人が読む新聞での記事でも「マレーシアの桜」という表記になっていたそうです。
やはり気になるので調べてみると、日本語では「桃色ノウゼン」、英語では「Trumpet Tree(トランペットツリー)」や「Tabebuia(タベブイア)」、中国語では「風鈴木」というそうです。日本ではこの木は沖縄でよく見られるそうです。ピンク色だけでなく、黄色や白色もあるようです。
5年間気になっていた「マレーシアの桜」の本当の名前を知ることができて、スッキリした!
Written by 土屋 芳子